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えっちなのはいけないのでここに貯めておきます。いろいろごめんなさい。

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嘘告げ鳥

【小鳥】

「プロデューサーさん?どうしてこんなところに?」
「あ、小鳥さん、お疲れ様です。残業だったんですか」
「ええ……って、明日成田でお会いするはずの人がなぜここにいるんですか?」
 渡航手続きなどで通常業務が溜まってしまい、せめて明日の見送りにはすっきり参加したいと考えて、下の居酒屋でお酒も飲まずに夕食を済ませて事務所に戻ると、……もうここにはいる筈のない人影。
 千早ちゃんのプロデューサーさんでした。
 新しい人が来るわけでもないし、二ヶ月に一度は報告のため帰国する手はずでしたので、ざっと整理しただけの彼の机。
 その机に、プロデューサーさんはどうしたことか、平然と座っていたのです。
「今夜は千早ちゃんとホテルで待機でしょう?」
 そう。
 千早ちゃんのプロデューサーさんは、明日彼女と二人でアメリカへ飛び立つのです。
 彼女を羽ばたかせるために。
 彼女の翼になるために。
「いやあ、それがパスポートを机に入れたままにしていたのを思い出しまして」
 プロデューサーさんは、困ったような笑顔で頭を掻きました。
 いつもの癖。
 私が1年間、見続けていた癖。
「で、慌てて事務所に忍び込んだら、この机が懐かしくなってしまったというわけです」
「ええっ?そんな大事なこと、出発直前まで忘れてたんですかぁ?」
「面目ない」
 たいして申し訳なく思っていなさそうに、プロデューサーさんは笑いました。
「電話してくださったら、当日空港で受け渡すことだってできたのに」
「そうなんですがね、忘れ物に気付いたらいてもたってもいられなくなりまして」
「もう。しょうがない人ですねえ」
「はは。さすがに肝を冷やしました。電車の駅からここまで猛ダッシュです」
 彼の額に汗が光っているのが判ります。私は、ハンカチを取り出して彼に手渡しました。
「すごい汗ですよ?大丈夫ですか?」
「あ、すいません。平気ですよ、このくらい。でも、もし良かったら冷たい飲み物でもいただければ助かります」
「麦茶が冷えてますよ。持ってきますね」
「ありがとうございます」
 給茶室で、はやる心を抑えて深呼吸します。これは天啓でしょうか。それとも、悪魔の罠?
 頬に熱が昇らないように、心音が外に漏れださないように、ゆっくりと落ち着きを取り戻し、お茶を用意して事務室にとって返しました。彼の机にグラスをひとつ、隣の席にもひとつ置いて、私も腰かけます。
「すいません。お仕事の邪魔ですよね、すぐ退散しますので」
「いいですよ、そんなに慌てなくても状況は大して違いませんし。私も、あと一息ですから」
「俺のせいですよね?仕事が溜まったの」
「プロデューサーさんのお仕事がスムースに行くよう、サポートするのが事務員の仕事です。だから、謝らないで下さい」
 ――あんまり恐縮されると、私、図に乗っちゃいますから。セリフの後半は胸の内でささやきました。
 夜更けの事務室。窓の外には星空が広がっています。
 どちらからともなく、その空を見やります。
「……あの空へ、飛んでいくんですね。千早ちゃん」
「……そうです。未来に向かって、ね」
「成功、させてくださいね」
「はい。成功させます」
「私……たちは、ここから見守っていますから。千早ちゃんを。プロデューサーさんを」
 すんでのところで『たち』と付け加えた言葉の真意に、彼は気付いたでしょうか。こういったことにあまり勘のよくない人ですから、大丈夫でしょう――残念ですけれど。
「ありがとうございます。俺にとっては、小鳥さんに背中を預けていられることがなによりの力です」
「そ……あはは、言いすぎですよ」
「ほんとですよ。一年前、職にもつかずブラブラしていた俺を社長が拾ってくれて、一番はじめに出会ったのは小鳥さん、あなたです。アイドルをプロデュースするという仕事を一から教えてくれたのはあなただった。感謝しています」
「……」
「千早の相手をするのは、やり甲斐も充実感もありますが、やはり疲れます。一回りも下の女の子だ、未経験の事態に戸惑うことも多い。俺が事務所に帰ってくると、あなたがいてくれて本当にほっとするんです」
「そんな」
「ただ、俺自身もそろそろ巣立たないといけませんよね。あなたの庇護に甘えているだけでは一人前とは言えません。今回のアメリカ展開は、俺にとってもいい機会だと思いますよ」
「プロデューサーさん……」
「次の帰国目処は2ヵ月後です。その時には大実績を掲げて凱旋してやりますよ。社長にもそう伝えてください」
 期待に輝く笑顔で、そう語る彼を見ているうちに気付きました。その顔が段々ぼやけてくるのに。
「少々急ぎ足ですが日本の実績を武器に……うわっ、小鳥さん?どうかしましたか?」
「あ……あ、ご、ごめんなさい」
 プロデューサーさんの顔を見つめているうちに、涙が流れていました。いけない、とポケットを探りましたが、ハンカチがありません。そう、たったいま彼に貸したところでした。
「あ、あはは、すいません、ちょっと感極まって……っ」
 仕方ないので指で涙をぬぐい、なんとか笑顔を作ろうとします。
 このままでは彼が困りますから。
「いやだな小鳥さん、今生の別れでもあるまいし」
「あは、そ、そうですよね、ごめんなさい。ちょっと失礼しま――」
 これではプロデューサーさんに迷惑をかけてしまいます。トイレで心を落ち着けようと思い、立ち上がろうとしました。
 ガタン。
「――あ」
「小鳥さんっ?」
 慌てたせいで、椅子のキャスターに足を引っ掛けてしまいました。仰向けに倒れそうになった体をプロデューサーさんが引っ張ってくれ、次の瞬間私は彼の胸の中に身を預けていました。
「ふわ、びっくりした。大丈夫ですか?小鳥さん」
「あ……ありが……」
 スーツを脱いだワイシャツの、温かいぬくもり。力強い腕の筋肉、汗の匂い、優しく耳に響く声。
 もう我慢、できませんでした。
「……っ」
「こ……小鳥、さん?」
 私は彼の体に両腕を回し、プロデューサーさんをぎゅっと抱きしめていました。
「どうしました?めまいでも?」
 こんな時でもピンとこない彼に少しがっかりしながらも、逆にそのおかげで私の心は決まってしまいました。
「……きです」
「えっ」
 顔を上げて、彼の目をじっと見つめます。
「私……プロデューサーさんのことが、好きなんです」
 腕に力を入れて体を引き上げ、あっけに取られて半開きの口に、自分の唇を合わせました。
「んっ」
 昼とは違い、事務所に誰かいるとは思ってもいませんでしたので、歯も磨かずに戻ってきたのが悔やまれます。ヘンなにおいとか、しなかったかな。
 一方のプロデューサーさんの口からは、いつも体にまとわせているタバコのにおい。事務所でタバコを吸うのは今や彼だけで、ちょくちょく他のプロデューサーさんにからかわれたり、千早ちゃんに叱られたりしていたのを思い出しました。
 耳知識しかありませんでしたが、勇気を出して舌を差し込みます。
 プロデューサーさんはまだ驚いているか、私への対応に躊躇しているようで、キスを拒絶もしないかわりにこちらの動きにも無反応です。ただ『それ』も予測の範囲内で、私は唇をより一層強く押し付けました。
「ん……んふう、んんっ」
 キスをしながら呼吸しようとすると、鼻からこんな音が出るとは思いませんでした。漫画や小説でも息を止める描写が多い理由が今さら判って頬が熱くなります。
 口をなるべく大きく開けて、彼の唇にぴったり合わさるように。舌を長く突き出して、彼の舌と寄り添うように。
 目を閉じているので、プロデューサーさんがどんな表情をしているのかは判りません。もっとも、その閉じた目からまだ涙が溢れているので、どっちにしても結局彼の顔は見えなかったかもしれません。……と。
 ……ぎゅっ。
 プロデューサーさんの力が、ふいに強まりました。
 私の体を支えるだけだった彼の腕は、いつか私を強く抱き締めていました。
「うむ、んうんっ」
「ん……ん……っ」
 続いて、キス。私のキスに応じるというより、いま初めて私の唇を奪ったかのように、激しいキスをしてきます。
「む、んく、うんっ」
「んん……んむぅん……ぷぁ……っ」
 あまりの強引さに、私のほうが根負けしてしまいました。たまらず顔を離し、空気を求めます。
「ぷは、あ、っ……は……ぁ……ぷ、プロデューサー、さ、んっ?」
「……小鳥さん」
 まだ潤む視界に、真面目な顔をしたプロデューサーさんが映ります。
「小鳥さん……どうして、こんな時になって」
「え……」
「全部」
 強い圧迫感。
 私は、プロデューサーさんにふたたび抱きすくめられていました。
「全部、置いて行こうとしていたのに」
 かすかにですが、彼の体が震えているのが判りました。私の耳のすぐそばで、彼は続けて言いました。
「俺は千早の翼になると約束した。俺はもう人ではなく……人に恋する暇なんかないんです。どんなに恩のある、どれほど近しい、どのくらい愛しい人が目の前にいたって、俺はその人に
恋してはいけないんです」
「……あ、のっ」
「これから数年はアメリカでしょう。そこで成功すればヨーロッパも視野に入ってくる。その間、俺は千早のために羽ばたき続けなければならない。そんな俺が誰かを幸せにできるはずがないんです……だから……っ」
 なんということでしょう。
 私は、プロデューサーさんは千早ちゃんと両想いだと思っていました。アイドルランクが上がってきた頃、千早ちゃんがプロデューサーさんを目で探す数が増えてきたのを憶えています。弟の話を打ち明けようと思う、と相談された時のまなざしを憶えています。指輪をプレゼントされたと報告してきた時の嬉しそうな表情は今でも忘れません。千早ちゃんは間違いなく、プロデューサーさんに惹かれています。プロデューサーさんも、それを受け入れているものと思っていました。
「小鳥さん、俺をそんな目で見ないで下さい。俺は、千早のプロデューサーです。氷の歌姫をわずか1年で日本のトップアイドルに押し上げ、次の数年で世界に通用するアーチストに育て
上げるプロデューサーです。俺は冷徹な機械、休まずたゆまず動き続け、よるべない蒼い鳥を天高く舞い上がらせる鋼の翼なんです。人が機械に恋してはいけないし、機械は人に恋する資格などないんです」
 プロデューサーさんの手の力が、さっきまでと違う方向にかかるのが判りました。――いま彼は、私を押し離そうとしていました。
「……ホテルに戻ります。では明日、成田で――」
「いや、ですっ」
 彼の手は、軽く身じろいだだけで外れました。私の体はまた彼の胸に飛び込みます。
 さっきのキスのときは、これで最後だと思っていました。歯止めの効かなくなった感情の片隅で、これでプロデューサーさんは私を拒絶し、渡米し、きっと私は彼の顔をそれきり見ることなく、この765プロを去るのだろうと思っていました。それが彼のためであり、私のためであると。
 そういう、単純な話だと思っていました。
「小鳥さん?」
「プロデューサーさんは、機械ではありません」
 そうでないのなら、話は違います。
「プロデューサーさんは、千早ちゃんの翼です。でもそれは、血の通わない機械でいることではありませんよ。千早ちゃんをあそこまで生き生きと育て上げることができたのは、プロデューサーさんの心にあたたかい血が流れているからです。思いやりも誠実さも恋愛も、ちゃんと理解できているからです」
「……買いかぶりだ」
「いいえ、私には解ります。だって、私が恋した人のことなんですから」
 体を離して、彼のすぐそばに立ちます。背の高い彼は私を見下ろし、私は彼を見上げて笑顔を作りました。涙はもう止まっていましたし、流した分は彼のワイシャツに吸われていました。
「プロデューサーさん。千早ちゃんは寂しい子です。もう全部聞いていますよね?弟さんを亡くし、家庭も失い、歌にしかすがることのできなくなった可哀想な子です。でも、あなたに出会って千早ちゃんは生まれ変わったんです。再び、人を愛することのできる人間に」
 プロデューサーさんは少しつらそうな顔をしました。千早ちゃんが自分を慕っているのを思い出したのでしょう。
「千早ちゃんが恋した相手が、機械の翼なんかであるはずがありません。プロデューサーさんは、立派な人間様です」
「小鳥さん、俺は」
「あなたは、血肉を持ったちゃんとした人間です。『氷の歌姫』が心を凍らせたままで日本のトップアイドルになんかなれません。プロデューサーであるあなたも人の気持ちが解る人間
でなければ、言葉も信条も違うマーケットを相手に戦えるはずがありませんよ。しっかりしてくださいね、プロデューサーさん」
「……はは」
 プロデューサーさんの頬に赤みが差しました。さっきまで、凍え死にそうな顔をしていたんです。
「最後の最後に、また教わってしまいました。俺は小鳥さんには一生、頭が上がらないかもしれませんね」
「そんなこと、ありませんよ」
「本当に、どうやってお礼したらいいか」
 プロデューサーさんは、こういうことをこういう場面で言う人です。彼には、ひとかけらの他意もないに違いありません。
「お礼なら、していただきますよ。いま」
 そして私は、それを悪用するような人間です。
「……え、今?」
「プロデューサーさんには、千早ちゃんのプロデュースに集中していただきたいと思ってます。でも、それは明日からの話です」
 私は、人の弱みに付け込んでその人を欲望のはけ口にするような、悪い人間なのです。
「今日は」
「……小鳥、さん」
「今晩だけは、私の恋を成就させてください。お願い」
 そういう人間になろうと、いま心に決めたのです。
「んむっ」
 さっきのプロデューサーさんのキスよりさらに強く激しく、唇を合わせました。
 いやらしい水音が、私の口に耳に充満します。少し躊躇していたかに見えたプロデューサーさんも覚悟を決めたのでしょうか、キスに応えてくれ、まるで二つの粘体が互いに互いを巻き
取ろうとしているかのように舌同志が絡み合います。
「ん……ん」
 そっと目を開けると、プロデューサーさんもこちらを見つめていました。急に恥ずかしくなり、顔が火照るのを感じます。
 私は、でも、プロデューサーさんの胸に手を這わせて、ワイシャツのボタンをひとつひとつ外し始めました。
 プロデューサーさんの両手は私の背中に回され、支えるように抱きかかえられています。
その手がおずおずと動き始めました。ここまで行動して、ようやく私の意図を察してくれました。こんな人が芸能界の策略の渦を乗り越えてきたというのがいまだに納得行きません。
 左手は、私の背中を優しく抱きとめています。
 右手は体の前に回り、私のベストのボタンを外しました。全部外れたとたん、柔らかい音を立ててベストが弾けるように開き、私は急に気恥ずかしくなりました。
「……あ」
「小鳥さん」
 キスを離し、ブラウスが剥き出しになった体の前面を隠すように腕を組みました。その両肩をプロデューサーさんは抱いてきます。
「そんなこと言われたら、俺、歯止めがきかなくなります」
「……いいんですよ。これまでの授業料を払ってもらうつもりなんですから」
 まるでこんなことに慣れているかのような、余裕のある口調。遊び半分で若い男を食い散らす悪女。そんな演技をして見せます。ちゃと出来ているでしょうか。
 こんな時、こんな女はきっとこうするでしょう。手が震えているのを悟られないように体を近づけ、上目づかいで彼を見つめ、そして片手で……スカートのホックを外し、ジッパーを下ろしました。
 しゅるっ、という音が聞こえ、いきなり腿とお尻のあたりが涼しくなります。プロデューサーさんが目を見開いたのも判りました。
「……こ」
「来て下さい、プロデューサーさん」
 そこから先は矢継早でした。プロデューサーさんは私を抱き締めると隣室の応接室へ駆け込みました。ソファに私を押し倒し、乱暴に私の服を脱がせます。ブラウスのボタンがひとつ
ちぎれてしまいましたが、むしろそれで済んだのが奇跡でしょう。あっという間に私はストッキングも脱がされ、上下の下着だけになってしまいました。
「ぷ……プロデューサーさん」
「小鳥さん。今夜だけと言いましたね」
「明日のことなんか知りませんよ。私はいま、プロデューサーさんが好きなんです」
 ワイシャツをはだけたプロデューサーさんは、立ったまま私を見下ろしています。ネクタイがだらりと垂れ下がり、アンダーシャツをつけていないたくましい胸板と腹筋が見えます。
「プロデューサーさん。私、あなたが好きです」
「小鳥さん」
 自分の体に巻きつけていた両手を解き、彼に向かって広げました。
「……来て、ください」
 彼の言葉は聞き取れませんでした。獣のようにうなり、私にむしゃぶりついてきたから。
 私の口を覆うように強いキスをして、ブラの下に手を差しいれて胸を揉んで来ます。初めは形を確かめるように周囲をなぞって。次は弾力を試すみたいに指をつきたてて。そうするうちに、指先が段々中心に近づいてきます。
「……ふっ、ふうっ」
「小鳥さん……柔らかい、んですね」
「や、ぁ、っ」
 私は他の人の胸の感触など知りません。ただ、プロデューサーさんに触ってもらうのは自分で触るのよりずっと気持ちよくて、強さも動き方もまるで予想外で、新たな刺激に囚われるたびにうっかり声を出しそうになるのを抑えるので精一杯でした。
 衣ずれの音が聞こえるのでそっと目を開けると、プロデューサーさんは片手で器用にネクタイを外し、ワイシャツを脱いでいました。私に覆い被さっているからだの奥の方で、ズボンはまだ履いていましたが、『そこ』が大きくなっているのが見て取れます。
 彼の指が、私の乳首に届きました。
「は……っ」
「固く……なっていますよ、小鳥さん」
 フロントホックに気付いたようです。いったん愛撫の手を止めて、またたく間にブラを外します。ソファに寝転がっているので脱ぐことは出来ませんが、私の胸がプロデューサーさんの目前であらわになりました。
 プロデューサーさんはものも言わず、今までいじっていたのと反対側の胸にキスしました。
 ちゅっ。
「っは」
 乳首ではありません。脇の皮膚に口づけただけです。でも、私はそれだけで体を飛び跳ねさせてしまいました。
 私の反応に力を得たのでしょう、プロデューサーさんの動きが徐々に大胆になってきます。
「……俺の」
「ふ、ぅっ」
 プロデューサーさんが、胸にキスを続けながら言います。その言葉の波動もまた、私の感覚をくすぐってゆきます。
「俺なんかのテクニックで、あなたが感じてくれるなんて。俺は嬉しいです。小鳥さんに恩返しできることがあったなら」
 乳首をくわえて、ふるふると乳房を振られました。小さな突起に重量がかかり、プロデューサーさんの唇の温かさが私の体に染み渡ります。
 片手が背中に回り、彼の舌はだんだんと上方にうごめきはじめました。
「んあっ」
「ずいぶん前から、こうすることを夢見ていた。あなたの肌を味わう日を」
「ぅ……く……」
「あなたに、キスできる日を」
 舌は私の鎖骨をなぞり、首の血管をわたり、あごを乗り越えて、また唇にたどり着きました。下唇を強く吸い込まれ、私は大きく口を開けます。
「ひゅくっ」
「ん……んむっ」
 あごの自由を奪われる形になり、よだれが口の端から流れ出ます。はしたないと思いますがどうしようもなく、その水跡をプロデューサーさんが吸いとります。
 私は舌を突き出し、プロデューサーさんの唇を舐めました。彼に沿おうというのか抵抗しようというのか、自分でも解りません。今度はその舌を吸われました。
「あ……あぷっ、ん、んむう」
 さっきから言葉にならない、だらしない吐息ばかりが出てきます。止めようと思っても止まりません。男の人はこういうのが好きなのでしょうか。
 今や私は、ソファの上でプロデューサーさんに固く抱き締められています。裸同士の上半身がぴったりと合わさり、体温を熱いくらいに感じています。彼の手が背中をうろつくので腰を浮かせていましたが、いまその手が下着の中に……おしりの間に入り込みました。
「……っふ、っ」
「小鳥さんの体を、ずっとずっと想像していた。どれほど柔らかいのだろう、どれほどあたたかいのだろう、と」
 指が……お尻の割れ目に届き、私は彼にしがみつきました。それを何かの合図ととったのか、彼の手は私の下着を脱がせにかかります。
 ソファの上で動いているうちに、ブラのストラップが外れていました。体を持ち上げるだけでそれは床に落ちます。下も、もう彼の手で膝まで下ろされてしまっていました。そっと脚を抜き、私は仕事場で正真正銘、素裸にされてしまいました。
 プロデューサーさんはわざわざ身を起こし、私の体を蛍光灯に晒します。
「きれいです、小鳥さん」
「恥ずかしい……です」
 横を向いて、両手で体を隠します。プロデューサーさんはまだシャツを脱いだだけです。
「プロデューサーさん、も」
「あ……そ、そうですね」
 いま気付いたかのようにベルトを外し始めます。その動きを見て私は、プロデューサーさんも経験が少ないのではないかな、と思い当たりました。人のことは言えませんが、彼もかなり緊張しているみたいです。
 私は体を持ち上げ、ソファに座りました。
「……私がしても、いいですか?」
 目の前のプロデューサーさんに言い、手をベルトにかけました。
 さきほどの軽いマッサージで、体中がじんじんと響いているようです。ソファに裸で座っていることも動悸を高め、そのうえ私は自分の手でプロデューサーさんのズボンを、パンツを脱がそうとしているのです。
 やっていることのはしたなさに、体が震えました。……でも。
 でも、私の望んだことです。
 明日から千早ちゃんのものになってしまうプロデューサーさんを、ただ一晩、私のものにするという、心からの望みです。
 かちゃっ。
 ベルトが解けました。顔を近づけて合わせのホックを外し、ジッパーを下ろします。
「……っ」
 プロデューサーさんがひくりと動きました。弾け出るように、パンツが――その中身が押し上げる布地が――姿を現わしました。
「プロデューサーさん……こんな、に」
 ダークグレーのボクサーパンツは、下卑た冗談で言われる姿の通りテントのように布をぴんと張り、その中心は湿って色が変わっています。そこから香るオスの匂いはむせ返るように私の鼻腔に入り込み、まともにものを考えることができなくなります。
 私は、いつの間にかソファから下りていました。裸のまま床にひざまづいて、プロデューサーさんの股間に顔を近づけているのです。
パンツの布地を引き下ろすと、中から……。
 まるで、別の生き物のように。テレビで見たカミツキガメの鎌首のように、びくびくと上を伺い見ながら、その先端からよだれのような透明な液をたらしています。
 さっきからの匂いはますます強まり、呼吸をするたびに私の神経を冒していくようです。たまらなくなり、私はそれを口に含みました。
「はぷっ」
「う……く」
 これまで『勉強』に使った本やビデオは役に立たないと知りました。
 これが、こんなに大きく、こんなに熱く、こんなに暴れるものだとは予想もできませんでしたし、もうその香りに、味に、熱に脳が沸騰してものが考えられません。
 ただ、ただ夢中でくわえ、舐め、すすりました。
「んむ、ふぅ、う、んっ、むぅんっ」
「くっ、くふ、こ……小鳥、さ、んっ」
 噛み付いたら痛いに決まっています。なけなしの意識で歯の先が当たらないように注意しながら、内頬の肉や舌を使って、しごいたり擦ったりしました。プロデューサーさんもどうやら気に入ってくれているようです。私の頭を支えながら、ときどき撫でてくれます。
 こんなはしたない行為の中で行なわれる無垢なしぐさに、私はますます胸が高鳴っていました。
「くちゅっ、ふぅっ、ぷひゅうぅ、ん、っく」
 口を開けっ放しですので、よだれを止めることができません。だらだらと垂れる粘液は私の胸や彼自身を伝って流れ、その潤滑で私の動きはだんだんと早くなります。
 鎌首の根元の、柔らかな袋に気付き、そっと撫で回してみました。強く打ったりすると痛い、というのは小学生の頃の知識ですが、きっと今でも有効でしょう。
「ん、く、っぷ、くぷっ」
「う……うう、小鳥……さ、……あ、ああっ!もう……」
「んくう」
 彼の膝の力が抜けかけ、私が調子に乗り始めたときです、急にプロデューサーさんが私の頭を押さえました。
 頂上が見えたのだと思い、不自由な体勢のまま、さらに舌を動かします。
「うぁ……こ、小鳥さん……ッ!」
 次の瞬間、プロデューサーさんの腰が激しく動き、私の喉の奥に激しくつきたてられるのを感じました。
「ん……くぉ、お、ぶぅ、っ」
 ここは知識にある、と思っていましたが、とんでもない勘違いでした。プロデューサーさんのほとばしりは私が知っていたどんな映像より激しく、どんな動画より熱く、多く、濃く、私の喉を蹂躙したのです。
「んぐ……ぅ、んくっ、こくっ」
 ただ、それはプロデューサーさんそのものであり、それを私は少しも取りこぼしたくありませんでした。彼の腰にしがみつき、口も喉も全部駆使して、むせそうになるのを我慢して飲み干します。さすがに少し咳込んでしまい、私の胸やお腹、プロデューサーさんの脚や床に飛び散ります。あとでカーペットの掃除は念入りにしないといけません。
「こおっ、こほ、こほっ」
「小鳥さん?す、すみません!大丈夫ですか?俺、我慢できなく――」
「ふふ、プロデューサーさん、お若いですね」
 私を気遣う言葉を遮り、私はにっこりと笑ってみせました。
「たくさん出ましたね。ずっと我慢していたみたい」
「……千早はストイックな子ですから。ばれちゃうんですよね、そういうの」
「お仕事熱心ですね。今日のことだけは気をつけてくださいよ?」
 他の女の子の話題を出されて少しショックでしたが、もともとこういう人です。気にしないようにして世間話の隙に呼吸を整え、あらためてプロデューサーさんのそこにキスをしました。
 いましがた絶頂を迎えたというのに、見た目が変わりません。
「綺麗にしてあげますね」
 そう言って、アイスキャンデーを味わうみたいにぺろぺろと舐め上げました。
 私の舌が通りぬけるたびに、ぴくぴくとうごめきます。可愛らしく思い、ひとしきり舐めていると、プロデューサーさんが言いました。
「小鳥さん……、俺にもさせてください」
「え、で、でも」
 どういうことか想像して胸が高鳴りますが、それと同じくらい不安を感じました。そんなことをされたら、私はどうなってしまうでしょう。
 プロデューサーさんはすこしずつ位置を変えてゆき、ソファに腰を下ろしました。私は彼の腰に手を回したまま、彼の前にひざまずく体勢です。
「俺だけじゃ悪いですよ。それに」
「ひゃ」
 いきなり彼が、私のお尻に両手をあてがいました。そのまま抱っこするみたいに持ち上げられ、私は立ちあがってしまいます。
 さっきと逆の位置で。
 私が立ちあがり、ソファに座った彼の顔は私の股間を除き込む高さにあります。恥かしさに、内腿に力が入ります。
「それに小鳥さんだって、もう」
「……ふぅっ」
 顔を近づけられ、右手の指を差し入れられました。……濡れているのが、ばれてしまいました。
「もう、こんなに」
 くちゅ。
 化粧クリームの瓶に指を直接差し込んだような、濡れて粘る音がして、私のそこから快感の刺激が駆けあがります。
「きゃうっ」
 さっきの、胸のときと一緒です。胸のときより強い快感が、わたしのそこから全身に広がりました。あっと言う間に足の力が抜け、プロデューサーさんの体の上に倒れそうになります。
 そこにプロデューサーさんの力が加わりました。彼はソファに寝転がるとともに、私の体を自分の上に引き上げたのです……互いの頭と脚が、さかさになるように。
 プロデューサーさんがソファに寝て、私はその上にうつぶせに乗っています。私の目の前にはプロデューサーさんの、それ。わたしのそこは、彼の目と鼻の先にあるに違いありません。
「あ……あ、あのっ」
 私の片足は狭いソファの奥で体重をささえ、もう片方の脚はまだ床の上でふんばっています。つまり私は、プロデューサーさんの顔の真上で、大股開きでそこをさらけ出しているのです。
「や……はず、か……し」
「恥かしくなんかありませんよ。小鳥さん、綺麗です」
 お尻に再び力が入れられ、私の股間がプロデューサーさんの顔に近づいていきます。彼の吐息が私のそこに当たり、その感触だけでも天に昇ってしまいそうです。
 ぴちゃ。
「ふくぅ」
 あたたかく濡れたものが――舌でしょう――いきなり私を舐め上げ、私はびくりと身を震わせました。
 ちゅっ、くちゅっ、ぬちゅっ。
 続けざまにいやらしい水音が体の奥に響き、そのたびに私の体はぴくんぴくんと動きます。
「あんっ……ん、んふぅ……はあんっ」
 口から漏れる吐息もどんどん大きくなり、止めることができません。プロデューサーさんは愛撫に集中しているらしく、一言も発せずただひたすら舌を動かしています。
 全体をぺろぺろと舐め回され。
 内側のひだを吸われ、引っ張られ。
 奥深く差し込まれて、中の肉壁をぐりぐりと突かれ。
 私は、そのたびに身を躍らせ、意思に反してますます脚を開き、彼の上でふしだらなダンスを踊るのです。
 気付けば腕の力も入らなくなり、プロデューサーさんの体の上にべったりと乗っています。頬になにか当たるのに朦朧とした視線を振ると、私はプロデューサーさんのそれに自ら顔をこすり付けていました。
 何も考えず、大きく口を開いてそれをくわえます。
 自分が受けている甘くとろけそうな快感を少しでも彼にも味わって欲しくて、慎重に大胆に舌を這わせます。
 さっきの絶頂で少しコツがつかめていました。喉のほうまで大きく開くことを意識しながら、ゆっくり深く飲み込んで行きます。
 鼻先に柔らかな皮膚と、毛先が当たってくすぐったいです。
 私の声もこれでふさがれ、しばし吐息と、汗と粘液が絡み合う音だけがソファの上の空間を支配していました。
 先に音を上げたのは、今度は私のほうでした。
「……ん、んんっ、んふぅっ」
 お腹の中にたまってきた快感の塊が、プロデューサーさんの舌が動くたびにどんどん大きくなり、それはやがて体からはみ出しそうになりました。私はそれをこらえてプロデューサーさんのを舐めていたのですが、まるで体が浮くような強い快感になってきて、もうたまらなくなります。
 プロデューサーさんはいまや私のお尻の穴まで愛撫してくれており、私は下半身がすっかり溶けてなくなってしまったかのような感覚にしがみついていました。それがもう、破裂しそうな大きさになってしまっているのです。
「ぷは……あっ、あ、ああっ」
 口を離し、後ろを振り返ろうとします。
「プロデューサー……さ、ぁんっ……わ、わたし……わたしっ」
「小鳥さん……いい、ですか?」
 プロデューサーさんも息を荒くしています。ちょうど契機ととったのでしょう、彼も愛撫を中断し、腕の力で私の体を半回転させました。
 互いの顔を至近距離に捉え、プロデューサーさんは優しく笑ってくれ、私は朦朧とした表情で彼をじっと見つめます。
「小鳥さん……俺は、あなたを愛しています」
「プロ……デューサー、さん」
 そこが、押し開かれる感覚。
 肉の壁が、優しく、あたたかく、硬い肉の槌で割り広げられていく感触。
 痛みで、一瞬の内に意識が戻りました。
「い、っ」
「小鳥さん?」
 プロデューサーさんが不安げに見つめています。いけません、彼を心配させてはいけません。奥歯を食いしばり、笑顔を作りました。
「……へいき、です。来て……ください」
 彼の頬を両手で挟み、キスをしました。これできっと、我慢できます。
 数センチの距離で、目と目で話をしました。
 ――大丈夫ですか?
 ――はい。
 ――では、いきます。
 ――お願いします。
 ……ぐうんっ。
 なんとも形容しがたい、大きな衝撃。そう、痛みというより震動が、私のお腹の中に侵入してきました。
 次いで、痛み。体を割り開かれるような、でも、無慈悲ではない、いつくしみ深く甘美な進軍です。
「くぁ……き、つ」
「う……ふう……ううっ」
 痛みと快感の坩堝と化した下半身に力を奮い、私はゆっくりと、少しずつ自分の体を起こしました。
「プロデューサーさん……気持ち、いいですか?」
「小鳥さん、お……れ、っ」
 腕と、腿を使って、お尻を少し持ち上げます。
 くちゅ……。
 力を抜いて、再び落とし込みます。
 ……ちゅっ。
「っく」
 再び、上へ、下へ。三度、上へ、下へ。そのたびに鈍い痛みと火傷しそうな異物感が、お腹の中を通過します。
「うっ、ふうっ、くふっ、んっ」
「くぅ、う、こ、小鳥……さんっ」
 くちゅっ。くちゅっ。くちゅっ。
 全身を使って、締め付け、搾り上げ、こすります。
 プロデューサーさんが、気持ちよくなれるように。
 プロデューサーさんが、全て吐き出せるように。
 プロデューサーさんが、明日からの人生を歩めるように。
 プロデューサーさんが、私を。
 プロデューサーさんが、私を……。
 プロデューサーさんが、私を、……忘れて置いてゆける、ように。
「ふう、あ……あ、っ」
 快感の塊は、もう私の脳にまで入り込んでいるようです。すでに痛みも感じず、全身が膨れ上がった風船のように思えます。
 その風船がもう、今にも破裂しそうです。私の体を、プロデューサーさんが抱き締めるのを感じました。
「小鳥さん、小鳥さん、小鳥さんっ!」
 私の名前を連呼する彼の声を聞きながら、私も彼にしがみつきました。
「プロデューサーさん……プロデューサー、さぁんっ!」
「んく、うう……っ!」
 一瞬早く、私の快感の塊が破裂します。
 プロデューサーさんも続いて、私の中で果てたのが判りました。
 甘く切ない塊は私の体に浸透し、それを追うようにプロデューサーさんの精が注がれてゆきます。避妊しなかったな、と一瞬思いましたが、すぐに意識が薄れて何も判らなくなります。
「プロ……」
 視界に薄暗がりが降りてきます。私は焦点の合わなくなる視線を目の前の彼に向け、一度だけ、
「――さん」
 肩書きではない彼の本名を呼び、気を失いました。

「……う」
 次に目を覚ました時、私はソファに寝かされていました。
 時計を見ると長い時間ではありません。プロデューサーさんが後始末をしてくれたのでしょうか、私は脱いだ服を着ていて、体やあちこちの体液もだいたい拭き取られていました。ブラジャーだけは諦めたみたいです。二つに折って横に置いてありました。
 身を起こしてあたりを見まわします。彼はもう行ってしまったのでしょうか。
 涙がにじみそうになった時、事務室のドアが開いて彼が入ってきました。
「あ、小鳥さん、お目覚めですか」
「プロデューサーさん」
 手にはトレイを持っています。マグカップが二つ、コーヒーの香りが漂ってきました。
「どうぞ。やり方がわからなかったのでインスタントですが」
「……ありがとうございます」
 応接室で向かいあい、二人でコーヒーを飲みました。何も話さず、テーブルを静寂が包みます。
「あの」
 口火を切ったのは彼でした。
「小鳥さん、俺は、とんでもないことを――」
「いいえ。むしろ、こちらこそすみませんでした」
「……え」
 彼が何を言うかは見当がついていましたし、私は私で何を言おうか、初めから考えていたのです。あっけなく彼の言葉を遮り、私は彼に謝りました。
「実は下で食事をした時、ちょっとのつもりがビールをお代わりしてしまって。ちょっとモヤモヤしていたこともあって、つい不埒な行為に及んでしまいました。申し訳ありません」
「小鳥……さん?」
「社内の立場を利用して相手に無理強いをするの、本当はパワハラですよね。たぶんプロデューサーさんに訴えられたら私、クビです」
 信じられないという表情の彼を笑顔で見つめながら、続けます。
「私、この会社しか居場所がないんです。もし許されるなら、なんとか内密にしていただきたいんです」
 ゆっくり頭を下げました。
「どうか、この通りです」
「……小鳥さん」
 プロデューサーさんの声。一瞬前までと、トーンが変わりました。
「そういうことですか。判りました」
 顔を上げると、辛そうな顔をして、私と目を合わせてくれません。
「俺は、あなたに弄ばれた、と、そうおっしゃるんですね」
「……すみません」
「ただ、このことは俺の心が強ければ、ちゃんと拒否できたはずだ。その点、俺にも落ち度がある」
 何も言わず、彼を見つめます。
「いざ裁判などとなると女性が有利ですし、なにより時間も費用もかかる。俺はこれから千早とアメリカです、そんな悠長なことはしていられません。では、小鳥さん」
「はい」
「今日のことは……なかったことにしましょう。お互いに」
「はい……あり――」
 スムースに行こうと思いましたが、喉が詰まってしまいました。心を落ちつけて言いなおします。
これで、全て終わるんですから。
「ありがとうございます。私も、心を入れ替えます」
「そうですね。そうしてください。……ただ」
 プロデューサーさんが目を上げました。まっすぐ私を見つめます。
「それで終わりでは俺の気がすまない。あなたに、俺から罰を与えましょう」
「え?」
「もう金輪際……俺以外の男を見ないでください」
 耳を疑いました。
「あなたはもう、他の男を誘惑しないでください。こんなことは俺だけで充分だ、この先、俺以外の男になんか惚れないでください」
「プロデューサー……さん?」
「あなたの相手は、俺だけです。帰国するたびに『チェック』しますよ。いいですね」
 真剣な、瞳。
 私は何も言えませんでした。
 ただ、彼の視線だけは外せません。
 流し終えたと思った涙がまた溢れ、彼の顔がはっきり見えません。
 それでも私は彼を見つめ続けます。
「千早のプロジェクトは進めなければならない。しばらく寂しい思いをさせますが……それが俺からの罰です。それでも……かまいませんか?」
 私の嘘は、彼にひとつも通用しませんでした。
 涙の止まらなくなった目で彼を見つめ続け、ぐしゃぐしゃの顔でうなずく私は、まさに罰を受ける罪人のように見えることでしょう。
 でも、そんなことは罰のうちに入りません。二十数年間も寂しく過ごしてきたんです、今さら数年延びたところでなんということもありません。
 ですから私は……
「……はい、それがあなたからの罰ならば。寂しいですけど、耐えてみせます」

 ですから私は、そうしてもう一つだけ、嘘をついたのです。





end




【投下情報】20080910エロパロスレに投下。
小鳥さん誕生日記念SSです。誕生日関係ないけど。
  1. 2008/09/10(水) 00:00:00|
  2. SS
  3. | コメント:10
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コメント

んもう、プロデューサーさんたら、千早ちゃんにも同じような事言ってません?
  1. 2008/10/20(月) 20:34:13 |
  2. URL |
  3. 225鳥 #-
  4. [ 編集]

あれ?なんでバレ(ry いやいやそんな。
こんな辺境までようこそお越しくださいました。
つ 旦
まあお茶でも。ケミカルですが。
  1. 2008/10/21(火) 00:19:21 |
  2. URL |
  3. レシ #L4Epgk2E
  4. [ 編集]

いや、普通にブログの管理者ページの訪問者リストから来ただけですよw
  1. 2008/10/21(火) 11:24:32 |
  2. URL |
  3. 225P #-
  4. [ 編集]

そんな技知らなかった俺唖然www
ためしにうちの訪問者リスト除いたらスパム屋さんばっかですorz
こっちは作品数少ないですが今後ともよしなに。
  1. 2008/10/21(火) 18:36:43 |
  2. URL |
  3. レシ #L4Epgk2E
  4. [ 編集]

こちらこそよろしくです。

しかし、素晴らしい想像力ですね。
正直、私などは3DCGの彼女たちは、あたかもソフビ人形のその部分のようにツルッツルにしか想像できないのですが、氏の筆先に込められた魔力により魂が与えられ、まるで生身の女性のように息づいてきます。
ニコマスだけでなくSS界も奥深い世界であることを思い知らされた今回の迷入でした。
  1. 2008/10/21(火) 21:23:20 |
  2. URL |
  3. 225P #-
  4. [ 編集]

※コメント雑談は大歓迎ですわw

まいど褒めすぎていただいて恐縮ですが、225Pはじめとするニコニコ職人の皆様が操るアイドルたちも、れっきとした魂を宿しているのを感じます。MADPVは基本的にアイドルたちが『仕事をしている映像』を使用しますから、SSで描かれることの多い、生々しい部分が出てこないのでしょうね。
  1. 2008/10/22(水) 08:05:10 |
  2. URL |
  3. レシ #L4Epgk2E
  4. [ 編集]

実は私も、管理者ページの訪問者リストからお邪魔いたしました。
なんつーか、あまりにもの文章力に愕然としております。

今後のお話も、楽しみにさせていただきたいな、と思ったりなんかしたりしなかったりしておりますです。
  1. 2008/12/16(火) 22:19:31 |
  2. URL |
  3. きりしま #-
  4. [ 編集]

>きりしまさま

おおっと!夜さんやガミガミさんのブログあたりでお噂はかねがね。ほんわかみきりつ楽しく読ませていただきました。
まあ文章力にも日本刀で一刀両断するとか鈍器で殴りかかるとかいろいろあると思うのです。僕のは土のついたジャガイモの束でボコる感じかとw
きりしまさんちも楽しみにさせていただいてます。今後もよしなに~。
  1. 2008/12/17(水) 06:34:30 |
  2. URL |
  3. レシ #L4Epgk2E
  4. [ 編集]

きりしまさんのブログから来ました。
二人が激しく交わる様が目に浮かぶ表現もさることながら、2XX歳にして経験無し?という微妙な辺りの心理描写も秀逸で、最後までグイグイと読まさせていただきました。
ですが私が何より心を動かされたのは、エロという表現を通じて小鳥さんの内面的な魅力がこれでもかというくらいに引き出されている点でした。

次のお話も楽しみにしております。
  1. 2009/01/04(日) 23:49:01 |
  2. URL |
  3. なっぱ #ZSomq.IY
  4. [ 編集]

>なっぱさま

ようこそいらっしゃいました。褒めすぎありがとうございますw
ノンエロでも数本書いてますが、僕の考える小鳥さんは『永遠のお姉さん』だろうかと思います。優しくて思いやりがあって、自分のことは二の次で。ケミカルもぜんぜんアリですが(オイ、きれいな小鳥さんジャンルで可愛らしさが出せていたなら本望であります。

こんな感じの保管庫ですが、ゆっくりしていってくださいまし。
  1. 2009/01/05(月) 06:03:44 |
  2. URL |
  3. レシ #L4Epgk2E
  4. [ 編集]

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