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えっちなのはいけないのでここに貯めておきます。いろいろごめんなさい。

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marble

【亜美】
・生理に関する描写あり

 深夜のホテル。あたりは静まり返り、カーペットの上を歩く俺の足音すら耳ざわりだ。
「うん、うん、ああ。そっちはみんな元気か?」
『めっちゃゲンキー!あ、言い忘れてたけど今日はゆきぴょんに勉強教わったんだよ、宿題』
「真美が?なにお前、自分から教わったのかよ」
『んっふっふー、えらい?真美えらい?』
「えらいえらい。宿題か、帰ったら亜美にも教えてやってくれよな」
『おっけてぃんぐー』
 そんな中で、俺は声を殺しながら真美と電話をしていた。
 地方局の記念ドラマで、今日はまる一日の拘束だった。当番の亜美と俺で今朝がた乗り込んだ撮影はさっきクランクアップしたばかりで、俺たち二人は今晩一泊して翌朝の飛行機で帰る予定である。
『でもいーなー、亜美は。兄ちゃんとヒミツのあばんちゅーなんてさ』
「バカ言うな、どこで憶えてきたんだ」
『だって真美も行きたかったんだもーん』
 普段、亜美と真美は常に行動を共にしている。あまりないことだが今回は、撮影日程と旅費の都合で真美は東京で待機となっていた。
『亜美は?』
「先に部屋に上がってもらったから、シャワー浴びてるかもう寝てると思う。けっこうハードだったんだ」
『お部屋、ツインなんだよね。兄ちゃん、亜美と一緒の部屋でドキドキ?』
「するかっ!むしろ父親気分でハラハラしどおしだぜ」
『なんだー、つまんないの』
「俺をドキドキさせたいんなら早く大きくなってくれ。お前たちなら美人姉妹になるぜ」
『よーし、んじゃ頑張ってぼんきゅぼんなっとくか』
「あはは、頼むぜ。じゃあ真美、部屋着いた。亜美が寝てたら悪いから切るぞ」
『ん。……ねえ、兄ちゃん?』
「どうした?」
『亜美のこと、気をつけてやってね?真美もだけど、今ちょうどおザブ中なんだ』
 座布団……女性特有の隠語。二人は生理中なのだ。
「ああ、心得てる。真美の方は平気か?調子」
『いつもはそんなに重たくないもん。亜美は、今日のこともあったしね』
「そうか、だよな。撮影中は大丈夫そうだったし、たしかもう終わりだろ?」
『うん、おとといからだかんね』
 二人は周期も期間もぴったり一緒で、俺の手帳にも特別なマークが入っていた。わざわざ聞いたりしないが、このように報告があれば適宜検証もしている。
 本当のところ、思春期の女の子がこんな話を年上の男性にするのは恥かしいだろう。俺だって本当なら聞きたくはないが彼女たちの職業柄、これは必須事項なのだ。だから俺も、なるべく真面目に、そして明るく対応することにしている。
「むしろよかったか?明日のパーティならもう、思う存分ハジケられるもんな」
『あ、今日みんなで会議室の飾り付けしたの!亜美帰ってきたらびっくりするよ、きっと』
 明日は二人の誕生日で、事務所では所属タレントのみんなでパーティを予定している。真美は事務所で率先して宴会の指揮をしていて、ちょうどよい気晴らしになったようだ。
「よしよし、明日はダッシュで帰るからな、事務所で会おう」
『お土産とプレゼントもよっろーん』
「おう……って待て、その二つ別々にせがんでるのか?」
『あたりまえでしょ?誕生日だよ、誕生日っ』
「あーもう、はいはい。もう切るぞ」
『あいよーん。お休み。……あ、兄ちゃん?』
「なんだよ」
『亜美のこと襲ったらメッだかんねー』
「ば……っ!」
 言い返そうとしたが、電話はすでに切れていた。口の中で小さく悪態をつき、携帯電話を閉じた。
 とたんに、あたりがしんとする。
「……まったく。大人をからかうなっつうんだよ」
 呟きながら、ポケットの中でカードキーを探る。
 ドアのスリットにさし込み、パイロットランプの光と共に軽い金属音を確認した。
 寝ているなら申し訳ないと無言でノブを回したが、ドアが細く開くと同時に水音が聞こえた。
「……なんだ、まだ風呂か。亜美、ただいま」
 泥棒のように歩かずに済むとわかり、ひと息ついてバスルームに声をかけ……異変に気付く。ユニットバスのドアが閉まっていない。
 一瞬、俺が帰ってくるのを待つためかとも考えたが、ドアの向きから言って不合理だ。
「亜美、亜美?帰ったぞ?」
 慎重に声をかけたが、シャワーの音の隙間からいつもの元気な声が聞こえてこない。代わりに耳に届いたのは唸るような低い声。
 体調が悪いのを我慢していて、部屋に戻ったところで限界が来たか?急な貧血で倒れたか?いずれにしても、やばい。
「亜美っ!亜――」
 慌ててバスルームに飛び込み、トイレの向こうのシャワーカーテンを開けると……。
「――亜……美?」
 俺の担当アイドルは……風呂場の真ん中で、素っ裸のまま、気持ちよさそうに眠っていた。

****

「……んー?にゃ?」
「亜美っ?大丈夫か?」
「あ、兄ちゃんお帰りー」
「ふう、焦ったぞ、おい」
 風呂の栓は外したままだったので溺れるようなことはなかったろうが、あのままでは風邪をひく。大慌てでシャワーを止め、バスタオルで白い体をくるみ、なるべく見ないようにしながら水気をふき取り、ホテルのガウンを着せ、ベッドに寝かせて布団をかけたところで亜美が目を覚ました。横になったまま、視線をこちらに向ける。
「あれ、亜美たしかおフロ入ってたんだよ?」
「なにが風呂だ。中で爆睡だったぞ、お前」
「うええ?マジで?」
「疲れてたなら寝なきゃダメだろ?体力回復が先決なんだから」
「……ごめんね、兄ちゃん。撮影で走りまわったからさ」
「まあいいさ」
 心配で少し口調がきつくなってしまった。しゅんとする彼女に、明るい笑顔で言った。
「無事でよかったよ。調子、大丈夫か?」
「あ、うん、元気。寝たおかげかな、あはは」
 そう言って笑う顔は血色もよく、楽しそうだ。疲れの方は実際何とかなったのだろう。
「そりゃまあ、よかったかな。だけどもう寝ろ、あんまり無理すんなよ?」
「えー?せっかく兄ちゃんと一緒にお泊りなのに」
「なに言ってんだ」
「じゃあさ、兄ちゃん」
「うん?」
「一緒のベッドで寝てよ。お願い」
「うぇっ?」
「兄ちゃん、亜美のこと心配じゃないの?」
「そ、そんなもんは一緒に寝なくたって」
「亜美、真美がいないからちょびっし不安なんだ。ねえ兄ちゃん、一緒におフトン入ってよ」
「お前なあ、大人をからかうと」
「……兄ちゃん、ひょっとして亜美にコーフンしてるの?」
「な?」
「そーいえばさっき、亜美のハダカ見たんだよね?なんかした?触ったり写メ撮ったりした?」
「す、するかっ!」
「ならいいじゃん。こっちおいでよ、兄ちゃん」
 子供の無邪気さと女の誘惑。亜美はこの二つを見事に使い分け、俺から『別のベッドで寝る』という選択肢を奪った。こちらも亜美が心配だったし、どれほどませていようと亜美は小学生だ。手早くシャワーを浴び、俺もガウンを身につけてベッドに滑り込むと、亜美はイタズラっ子の笑みで俺を迎え入れた。

****

 しばらくベッドの中で会話をしていた、と思う。今日の撮影のこと、学校のこと、友人たちのこと。
 そうするうちにだんだん亜美の目がとろんとしてきて、いずれ閉じられる。そうなったらそっとベッドを抜け出し、自分の布団で寝ればいい。俺はそう思ったのだ。
 が。
「……ちゃん……兄、ちゃん」
「……?」
 俺はどうも、先に寝入ってしまったようだ。右手がいまだに温かく締め付けられるのを感じ、だんだん意識が戻ってくる。首を横に倒し、目の焦点を合わせると……。
「んく。……ん、ん、兄……ちゃん」
「……?亜……美……ッ?」
 そこには……頬を染めた恍惚の表情。俺の担当アイドルの、潤んだ瞳と甘く濡れた唇があった。
「ふあ……兄、ちゃん……?」
 ほんの数センチという距離だが、俺と彼女の目が合うのに数瞬を要した。俺が起きたのに気付いた亜美は、表情に恥の色をいくぶんか含ませ、言った。
「兄ちゃん、ごめんね。亜美、亜美ね」
「お前……」
「亜美ね、なんか、ガマンできなくなっちゃったんだ」
 我慢?何を?大して経験のない俺でもわかる。それほど亜美の表情は妖艶だった。
「ごめんね、亜美、ダメな子だよね。でも、でも、なんか、手、が」
 ふう、と小さく吐息を漏らす。それすら年に不相応だ。
「……手がね、勝手に動いちゃうんだ」
 俺の右手は、亜美の両手で押さえられているだけではなかった。亜美は俺の手を両腿で挟みこみ、眠りこけた俺の指を使って……自慰をしていたのだ。
「兄ちゃん、先に寝ちゃったでしょ?亜美ね、兄ちゃんがすぐ隣にいるって思ったら、全然寝られなくなっちゃって」
 浅い息をつきながら、亜美が言う。
「ほっぺツンツンしたり、手にチューしたりしても兄ちゃん全然起きなくて。そのうち、兄ちゃんに亜美のこと、触ってもらいたくなって」
 身じろぎする拍子に、掛け布団がはだけた。裸の肩がむき出しになり、そのすぐ下に汗ばんだ乳房が白く浮かぶ。
 亜美は寝る時に着せたガウンを、すっかり脱ぎ去っていた。
「兄ちゃんの手で亜美の体、いっぱい触ってもらってるうちに……なんか、体のあちこちがジンジンしてきちゃったの」
 俺の手を挟み込んだ脚をもじもじとこすり合わせる。指は亜美の陰部に押しつけられており、脚が動くたびに柔らかなぬめりと水音を感じる。
「だから……だから亜美ね、こうやって」
 俺の手のひらを慈しむように両手で包み、足を開いてその中心に押し当てる。
「こうやるとね、兄ちゃんが触ってくれると、ジンジンするのがとろけてくんだ。兄ちゃんの手から、なんかあったかいのが広がって、体の中がぽっかぽかになんの」
「亜美……お前、何してるのか──」
「知ってるよ。6年生だもん。セーリも始まってるもん」
 のそり、と亜美が体勢を変えた。彼女を刺激せぬよう、身じろぎもできずにいた俺に覆い被さってくる。
「それより、兄ちゃんは知ってた?……んっ」
 何を、と訊ねる時間はなかった。亜美は俺の口を、自分の唇で覆った。
「亜美が、兄ちゃんのこと、スキ、なんだってこと」
「……亜美」
「いつもはね……いつもは真美もいるからフツーのふりしてるけど、ホントは亜美、兄ちゃんのことダイスキなんだよ?」
 俺の頬を両手で押さえ、噛みしめるように言葉を発する。彼女の顔はますます上気し、肌をさらしたことや密やかな行為を見られたことより、いまのこの告白にこそ恥じ入っているようだ。
「はじめて会ったときからね、兄ちゃんのことカッコイイなあって思って。亜美たちにお話してくれる声がステキだなあって思って。お仕事の時、頭ナデナデしてくれる手があったかいなあって思って」
 右手を俺の顔に沿わせる。
「髪の毛も、目も鼻も口も、夕方になるとチクチクしてくるおヒゲも、ぜんぶ好きで。もう、ずっとね、亜美、兄ちゃんのこと大好きだったんだよ」
 言いながら手を動かしてゆく。小さな掌で俺の髪を梳き、目蓋を、鼻の脇を、1日で伸びてしまった無精髭をなぞってゆく。
「いつもは真美もいるから……真美は、なんかそういうの、よくわかんなかったみたいだけど……真美と一緒にふざけて、兄ちゃんとはしゃいでるだけでも嬉しかったんだけど。でもね、夜、真美と別々にベッドに入ると、アタマの中が兄ちゃんでいっぱいになるんだ」
 俺は言葉を挟めない。
「いつの間にか寝ちゃうことも多いんだけど、アタマの中の兄ちゃんは亜美にすっごく優しくってね、ずっと一緒にいてくれんの。いっつも手をつないで、いっつもニコニコして、すぐ『亜美、かわいいな』『亜美、大好きだよ』って言ってくれんの。亜美のこと、いっぱい触ってくれてね、おっぱいや、おなかや、おしりとかすべすべーってしてくれて、亜美ね、いつもそんなの想像してたんだよ。ハダカのままの亜美を抱っこしてくれてね、そのまんまチューしてくれんの。そうするとね、亜美、お腹の奥の方からあったかくなってきて、すっごく、すっごくシアワセになんの」
 切ない告白は続く。妄想の俺は亜美を大事にしていたようで、そのときの俺の様子を語る亜美の表情はとても安らかで、幸福そうだった。
 その眉が不意に曇る。はぁっ、と、熱い吐息が漏れた。俺に半ば預けていた体重を、手足の力を緩めてくたりとのしかかった。いつも触れるより明らかに熱い肢体が、バスローブ越しに俺の体をも火照らせてゆく。
「ねえ、兄ちゃん。亜美、なんか……止まんないよ。体が熱くって、ムネがドキドキして、いつもと違って、ぜんぜん終わんないんだよ」
 そういいながら身じろぐ動きはもはや子供ではありえない。年齢に関わりなく、女はメスになりうるのだ。
「もっと触りたいな。もっとチューしたいな。……」
 俺の心の中にあったのは、罪悪感だった。今のこの状況ではない。亜美にかくも生々しい愛を告げさせるまで、何も気づいてやれなかったことへの罪の意識だった。
 二次性徴真っ只中の女の子だ、身の回りの世話を焼いてくれる大人の男性に憧れを抱いてもおかしくない。名前が売れてきた今、親よりもともにいる時間が長い俺に、ビジネスパートナー以上の感情を持っても不思議はない。
 こんな打ち明けを強いることになる前に、俺は亜美の心に気づいてやるべきだったのだ。もっと早く、亜美の恋心を感じ取り……それは間違いだと言ってやるべきだったのだ。それなのに。
 なぜ、できなかったのか。
「兄ちゃんにも……触って、欲しい、な?」
「亜美……」
 俺は、俺に覆い被さる小さな肩に両手を置いた。
「兄ちゃ……?」
「ごめんな」
 そしてその手に力を込めて、……。
「ごめんな、亜美」
「!」
 ……その体を、力一杯抱きしめた。
 なぜ、できなかったのか。理由は簡単だ。
 俺が、俺自身が亜美の恋心を無下にできなかったからだ。亜美がではなく俺の方が、すでに亜美に恋していたからだ。
「兄……ちゃん?」
 俺から亜美に、ゆっくりキスをした。顔を近づけてゆくにつれ、亜美の表情が当惑から微笑みへと変わる。唇が重なると同時に目蓋を閉じるのが見え、唇が軽く開くのを感じた。躊躇せず彼女の口中へ舌をねじ入れる。
「んっ」
「ぅ、む、ふっ」
 亜美からの、さっきまでのキスは唇を当てるだけの、言わば親愛の情とも取れる軽いものだった。しかし今それは意義を変え、言い訳のしようのない熱情の証へと姿を変えた。
 それも亜美ではなく、俺からの。
「ん……んく、……っう」
「ふう、っ、う、む、んっ」
 亜美にとっては初めてのディープキスを、亜美は精一杯うまくこなしているようだった。俺自身大した経験持ちではない。そんな俺の、贔屓目に見てもすでに興奮で暴走気味の俺の舌先を、その小さな口で受け止め、可愛らしい舌をひらめかせていなし、絡ませ、寄り添い、互いをむさぼりあった。二つの窒息しそうな呼吸音とねっとりと絡み合う水音がツインの部屋に響き渡る。仰向けの俺に覆いかぶさる彼女の口から垂れ落ちてくる透明な滴を、丁寧に舐め取りながらまたたく間に数分が過ぎた。
「……ぷは」
「……は、あ、っ」
 抱きしめていた腕の力をゆるめると、亜美はゆっくりと唇を離した。少し霞がかったような視線で俺を見つめ、自分の唇を舐めた。
「兄ちゃん……ありがと」
「ごめんな。ちゃんと言ってやれなくて。お前のこと、ずっと前から好きだったんだ」
「んーん、いいんだ。兄ちゃんはプロデューサーだし、亜美は小学生だし、アイドルだし。……でも、でもね」
 ぺたり、と頬を俺の胸に落とす。
「いま、ぜんぶわかっちゃったから、いいんだ」
「亜美……」
「亜美ね、兄ちゃんのこと大好き。兄ちゃんも亜美のこと、好きになってくれたんだね」
「好きになった……っつうか、けっこう最初っから、かな」
「ええー?ホント?」
「悩んだんだぞー。俺ロリコンだったのかーって」
「んふふ」
「でもな、思った。俺がヘンタイだったんじゃなくて、俺が惚れた女がたまたま亜美だったんだって」
 俺の上で目を閉じ、打ち明け話を聞いている亜美の頭を撫でてやる。心地よいのか目を細め、くすくす笑った。
「いいや、なんでも。亜美、兄ちゃんのこと大好き」
「そうだな。俺も好きだよ、亜美」
 やがて亜美は身を起こし、視線を俺に合わせた。
「あのね兄ちゃん、亜美ね、東京帰ったら元に戻るね」
「元に、って?」
「みんなのアイドル・双海亜美に。真美と仲良しの双子の亜美真美に」
 全てを言わせるのは酷だろう。亜美も、わかっているのだ。これはルール違反なのだと。
「ごめんな、そうだな」
「しょーがないよ。亜美もアイドルやってんの楽しいし、ファンのみんなウラギルのはダメっしょ?真美とだって仲良く行きたいし」
「真美に……隠せるのか?」
「んー、へーき、たぶん。あのね、真美、兄ちゃんのことラブじゃないよ」
 実は少々気になっていた事柄だった。
「なんで?」
「フタゴだもん。あ、真美のことボーガイしようって思ってるんじゃないからね。真美、だれか兄ちゃんより好きな人いるっぽい」
「へえ。双子って同じ人を好きになるんだと思ってたよ」
「んんー?兄ちゃんのウヌボレぇ」
「うっせ。しかしそれはそれで気になるな。クラスメートとか?」
「よくわかんないんだよねー、なんとなく感じるくらいなんだ」
「わかんないこともあるのか」
「真美、兄ちゃんのことも好きだけど、お兄ちゃんみたいって思ってるんじゃないかな。亜美と兄ちゃんがラブラブだってわかったらやっぱ嬉しくはないだろうし、だからヒミツにするけど、たぶん平気だよ」
「そうか。俺も亜美と真美がケンカすんのは困る」
「だよね……」
 不意に、亜美の言葉が途切れた。「……だよ、ね」
 いつしかまた俺の胸に顔を伏せ、俺の体にしがみつくようにしているその肩が、震えているのに気づいた。
「だ……だから」
「亜美?」
「帰ったら……ガマンしてられるように……ねえ、兄、ちゃん」
 鼻をすすり、続ける。
「だから……今だけ、いまだけ……亜美だけの兄ちゃんに、なって……ね?」
 全部聞くまでもなかった。体の上の小さな肢体を抱きすくめ、なかば落ちていた布団を跳ね除けてぐるりと回転し、亜美を組み敷いた。
「ふぁ」
「亜美……愛してる」
 そう告げ、先刻に増して激しく口を吸った。視界の至近で潤んでいた瞳は、ほどなく喜びの涙に変わった、と思う。
「兄ちゃん……いいの?亜美で、いい……の?」
「いいも何もあるか。俺は、亜美のものなんだから」
「あ……!」
 下から手足を総動員して俺に抱きついてくる笑顔。それを優しく解いてもう一度寝かせ、顔を近づける。法律とか道徳とか以前に、超えてはならない一線がある。
「だけど、なんでもOKってわけじゃないからな。亜美はまだ小さいんだから」
「む?もう赤ちゃんだって産めるんだよ?亜美」
「バカ、その準備ができたってだけだ。これからいっぱい大きくなって、たくさんのこと勉強して、頭も心も体もちゃんとお母さんになれるようになるまでは、そこはダメ」
「……ちぇー」
 とは言ったが、表情を見ると理解はしてくれているようだ。
「わかったか?」
「うん。しかたないね」
「よし。その代わり」
 ゆっくり体を下ろし、亜美にのしかかる。
「亜美のこと、いっぱい気持ちよくしてやるから」
「えええー?」
「おっ、なんだその顔?もしかして亜美、ワクワクしてる?」
「……兄ちゃんの、バカぁ」

****

 亜美の体はスイッチの塊だった。キスをしながら口蓋をくすぐれば鼻から甘い声が漏れる。鎖骨の窪みに舌を差し入れれば背をのけぞらせて喘ぐ。今こうして胸のふくらみに指を沿わせれば、悲鳴とも艶声ともつかぬか細い吐息が紡ぎ出された。
「ふう……くふぅ、うあ、ああ……あ、っ」
「亜美のおっぱい、可愛いな」
「や……にい、ちゃ……恥ずか」
「恥ずかしくなんかないぞ、ほんとに可愛い」
「だっ、てぇ……あみの、ちっちゃい、か、ら」
「関係ないさ。ほら」
 中央の突起を舌で巻き絡め、前触れなしに強く吸った。
「ひぁ!」
「ここ、気持ちいいか?」
 返事は待たずに愛撫を続けると、亜美は言葉ではなく身じろぎで肯定を示した。
 両手で胴体を支え、指先で全ての感触を味わうかのようにじりじりと肌をさすり下ろす。乳房の下の柔らかな皮膚、細い肋骨の稜線、薄くもトレーニングの成果が見えるしなやかな腹筋とその上に乗る女性らしいふくよかな肉。脇腹はくすぐったいのか嬌声というより笑いをこらえるようだったが、臍にキスをしてみると我慢の限界を超えたらしい。
「きゃふっ、ふっ、ふふふっ」
「んん?気持ちいいのかくすぐったいのか、どっちだよ亜美」
 少し面白くなってき、わざと舌を小さな窪みにこじ入れた。
「ふひゃははは!に、兄ちゃ、だ、だめ、くっ、くすぐった、あはは、あははは」
「うりゃうりゃ、こちょこちょ」
「きゃははは!ちょ、や、やめ、っ、やあっ」
 体から力が抜けた瞬間を突き、臍から一気に唇を駆け下ろした。向かうは一箇所。
 ほんの申し訳程度のヘアを踏みしだき、さらにその下へ。まだぴったりと合わさったままのスリット全体を口に含み、歯と舌で開門を促す。
「ふゃあっ?あ……あふっ」
 攻め手の急変についてゆけなかったのだろう、亜美はなにが起きたかわからないまま、突然の快感にのたうっている。
「ああ!ん、く……あ、兄ちゃん?兄ちゃ……ん、んっ」
 逃げられないよう腰を押さえつけ、小さな丘陵を歯で撫でると、そこ一帯が細かく震え上がる。合わせ目を丹念に舐めなぞれば止め処のない水漏れが始まる。亜美は羞恥のあまりか両手で顔を覆い、ベッドの上でうねうねとくねった。
「あふ、はふっ、に、兄ちゃんだめだよ、だめっ、だ、よぉ……っ」
「ダメなもんか。気持ちいいんだろ?」
「やぁ、だ……ち、が、っ」
 快感に喘いでいるにしては抵抗が強い。しばらく考えたが、舌に粘液の塩味とは違った鉄の匂いを感じて思い当たった。亜美は生理中だったのだ。
「血がぁ……っ」
「気にすんな」
 保健の授業では役目の終わった排出物と教えているはずだ、排泄行為でも見られている気分で恥ずかしかったのだろう。口を離し、舌に残るぬめりを嚥下して亜美に向き合う。
「だって……キタナイよ」
「汚くないよ。さっき亜美が自分で言った『赤ちゃんを産める証拠』だろ?俺はね亜美」
 首をすくめる亜美の額に、軽く口づける。
「ふぁ」
「お前の顔も、体も、手も足も」
 言いながら唇を移動させてゆく。胸元にキス、手の甲にキス。
「亜美の体を作っているものなら何だって可愛いし、大好きなんだよ」
「はぁ……んっ、あ、亜美、もっ」
 俺の体を支えていた亜美の両手に、ふいに力がこもる。唇を止めて様子をうかがう俺の首に、亜美は強くキスをした。
「亜美もね、亜美も、兄ちゃんの全部が好きだよ。笑ってる兄ちゃんもマジメな兄ちゃんも、怒ってる兄ちゃんも」
「ホントか?」
「あ、怒ってる兄ちゃんはあんまり好きじゃないかも」
「バカヤロ」
「ね、兄ちゃん」
 亜美が問いかけた。
「うん?」
「兄ちゃんも、気持ち良く、なって」
「俺のことなんか気にすんな」
「ううん、ううん。亜美だけ気持ちいいのは、やだ。兄ちゃんだって、その……さっきから」
 視線をちらちらと、俺の股間に振る。丸裸の亜美に対して俺はバスローブも下着も着けているが……。
「ぎゅってしてくれるとね……お腹に、当たるんだよ」
「……面目ない」
 それはそうだ、この状況で心頭滅却できるようなご立派な下半身は持ち合わせていない。今や相思相愛とわかった美しい少女のしどけない姿に、俺のセガレは文字通り首を長くして出番を待っていた。
「ごめんな亜美、イヤだったか?」
「ううん。これ、兄ちゃんが亜美でコーフンしてるってことだよね」
「ああ」
「亜美ね、嬉しいんだ。亜美ってチビッコだし、ムネだってちっちゃいし、せっかく好きになってくれてもこんなんじゃ兄ちゃん、ハッスルしないんじゃないかなーって思ってたから」
 普段の明るい様子からは思いも寄らない弱気発言だ。そういう気性には気づいていたが、その言葉がファンやステージではなく、俺に向けられていることに密やかな喜びを感じる。
「バカ言うな。言ったろ、お前の背丈や体とかじゃなく、俺が好きになった女が亜美だったんだ」
「あんがと、兄ちゃん。でね、だからね、だから兄ちゃんのこれ、亜美で気持ちよくなって欲しい」
 こちらをまっすぐ見つめる瞳に、不覚にもジンと来てしまう。これで萎えては元も子もないと、慌ててシャツを脱ぎ捨てた。
「そっか。わかったよ、亜美」
「に、兄ちゃん?あの、あのっ」
「心配すんな。痛いことや苦しいことはしないから」
 焦りすぎただろうか、俺の様子で亜美は心細くなったのだろう。
 さっきの約束は本気だ。この有様で説得力もなにもないが、俺は亜美が大事で、亜美がこの先を過ごしてゆくのに毛先たりとも不安の種を落としたくなかった。
 あらためて、彼女を恐れさせないよう、ゆっくりとトランクスを下ろした。
 亜美はさっきからずっとこちらを見つめている。不安半分、興味半分といったところか。俺も全裸になり、うちのジュニアがその全貌を露にしたところで彼女の口からため息が漏れた。
「……ふわぁ」
「ん?不肖の息子で申し訳ないな」
「あの……さ、兄ちゃん?」
「なんだよ」
 ごくり、と息を呑む音。亜美が言葉を捜している。
「こ、こんな……おっきいもんなの?」
「えーと、ありがとう?」
 とんちんかんな受け答えだったようだ。亜美が血相を変え、上半身を起こしてあとじさる。
「っつか無理だよ無理無理!こんなの刺さったら亜美死んじゃうって!」
「だから言ったろ、今はダメって。いつか、亜美が大丈夫になったら、その時あらためて頑張ろうぜ」
「うん……でも、でも、さ」
「なんだよ」
「今日だって、それ、ナントカしないといけないんでしょ」
「それはこうする」
 俺はあらためて亜美にのしかかり、押し倒した。
「むきゅ、っえ?」
「脚、持ち上げるぞ」
「えっ?は、あ、やっ?」
 体の下で脚を抱え上げ、いまだとろとろと蜜を生むそこにあてがう。行動を誤解した亜美が体を固くするのがわかる。
「大丈夫。大丈夫だから」
「兄、ちゃ……?」
「違うから。こうするんだ」
 真白き平原の柔らかなクレヴァス。その谷沿いに竿を横たえ、バイオリンの弓の要領でぐい、と押し進めた。
「ひゃうぅっ」
 先ほどまでの舌や指とはまるで違う衝撃に、驚いたような声を上げる。
 体重をかけたまま、ゆっくり引き戻す。
「っあ!あんんっ!」
 丸太を縦に割る鋸引き。櫛の歯掃除。アダルトビデオや下卑た写真誌あたりならパイズリならぬ『マンズリ』とでも言うのだろうが、そんな言葉は使いたくなかった。
 スピード、角度、慎重に見定めながらゆっくり、力強く押す。引く。また押す。
「っふぅ……ぅくうう、んん、うんんっ……あ、あふ……っ」
 亜美を組み敷く体勢はほぼ正常位であり、両手を握り合って腰を動かすたび、目を固く閉じ、首を振り、大きく喘ぐ。その声を恥じてか頬を紅潮させ、しかし明らかに快感を得ているのだろう、ペニスがスリットを擦り通るにつれその声は大きくなってゆく。
「はあっ……に……兄ちゃ……」
「亜美、苦しいのか?」
「んんっ……ちが……あの」
「うん」
「あの、ね……兄ちゃんの、っが」
「俺が?」
「兄ちゃんの……が、こすれて、ね……あの……ぅく、っ」
「どうした?」
「……いじ、わる」
「……ごめん」
 少し遊びが過ぎたか。俺は亜美の目を見つめ、いっそう腰を強く早く動かした。
「亜美、もうちょっと、だからな」
「ふっ……う、うんんっ……わ、わかっ、んくっ」
「亜美、亜美、好きだよ、亜美」
「んっく、ふっ、に、兄ちゃん、兄ちゃん……っ!」
 亜美が曲げていた膝を解き、俺の腰に回した。支えを失った俺の胴は亜美にのしかかるように、ベッドに倒れこむ。
 こちらも終わりが近い。今さら体勢の変化など意に介さず、ひたすら腰を動かし続けた。
「ふあ!兄ちゃん……兄ちゃん?なんか……なんか、っ」
「亜美、大丈夫だよ、亜美」
「なんか!なんか来るの、お腹のなかで、ふくらんで……っ」
「俺がいるよ、亜美、ここにいるから、安心して」
「兄ちゃ……ね、亜美にっ、ちゅっ……チュー、して?兄ちゃ」
「亜美……っ!」
「兄ちゃん!兄ちゃんっ!」
 頂点が見えた。俺は亜美を力いっぱい抱きしめ、口付けた。亜美も応えてくれ、俺の背に腕を回し、口を押し付けてくる。
 俺の絶頂と前後して、亜美の体がびくんと震える。快感の波は俺同様幾度も押し寄せていると見え、俺の痙攣のたびに亜美もその身を震わせた。切ない情欲の塊が俺から放たれ、触れ合わせている小さな愛しい体に振りまかれるのを感じた。
 力尽きた体を、亜美の上からのけようと動く。このままでは彼女が重かろう。と、のろのろとした動きで亜美が、再び両手を俺の首に回した。
「どいちゃ、やだ。どかないで」
「……ああ」
 か細い声でそう言い、目を閉じる。俺も動くのをやめ、亜美にかぶさったまま体の力を抜いた。
 放心していたのは数十秒といったところだろうか。
「兄ちゃん……やっぱ重いー」
「そか。ごめんな」
 亜美がこちらを見て、にっと笑った。俺も笑いかけ、横ざまに体を投げ出した。
「ありがと。あのね、すごく気持ちよかった」
「どういたしまして。お前が幸せならよかったよ」
「兄ちゃんは?気持ちよくなかった?」
 俺の言葉を悪く取ったのか、ふと眉を曇らす。首を振り、亜美の臍のあたりを指差して言った。亜美の視線がついてくるのを感じる。
「ご覧のとおりだよ、姫」
「……うひゃああ。ナニコレ」
 おかしな声を上げたのは、彼女の予想を超えた惨状だったからだろう。
 亜美の腹の上で果てた俺は彼女の白い肌に大量の精液をぶちまけてしまったが、それだけではなかったのだ。さきほども染み出していた経血が俺のセガレに零れたようで、亜美の腹部は赤と白の液体の入り混じった、なんとも前衛的なマーブル模様の絵画が塗り広げられていたのだ。
「お前、終わってなかったんだよな。ごめん、ちょっと興奮しすぎちまった」
「あはは。ケチャップとマヨネーズみたい。亜美はオムライスかっつーの、あはは」
「バカ言ってんじゃない。いまティッシュ持ってきてやるな」
「あ……ちょっと待って、兄ちゃん」
「なんだ?」
 サイドテーブルのティッシュを取ろうと身を起こすと、亜美も腕を支えに起き上がって、肌に散った液体を愛しげに撫でている。指の腹で白と赤が混ざり合い、瑪瑙を思わせる粒を形づくる。
「おい、汚れるぞ」
「汚くないもん。これが……兄ちゃんの、赤ちゃんのモト、なんだよね?」
「まあ、そうだが」
「さっきも言ったっしょ?」
「なにを?」
 亜美はその手を持ち上げ、顔の前で俺に見せ付けた。
「亜美だって、兄ちゃんの全部が好きだ、ってさ」
 こちらを見つめつつ、大きく口を開けて……掌をべろりと舐めた。
「……亜美」
 舐め取り切れなかった残滓は唇の端に球になり、それを舌が掬い取ってゆく。
 その光景に見とれるうち、亜美は右手に付いた精液と血をきれいに舐め尽くしてしまう。全部終えてから、眉をしかめた。
「うぇ。あんまりおいしくないや」
「ばっかやろ」
「でもね」
 改めて俺に体を拭かせながら、俺の耳元に口を近づける。
「でもね。でも、兄ちゃんのこと、大好きだよ」
「……俺も大好きだよ。亜美」
 拭き終えてからもう一度長いキスをし、体を洗うために二人でバスルームへ向かった。

****

「真美ただいまーっ」
「亜美おかえりーっ」
 翌日の昼過ぎ。
 空港から事務所に直行すると誕生日パーティはすでに開始直前で、『本日の主役』と書いたタスキをかけ、もう1本を手に持った真美がすっ飛んできた。さすが双子といおうか、1日ちょっとではあったが片割れの不在は寂しかったに違いあるまい。さながら10年も会っていなかったかのように嬉しそうにはしゃいでいる。荷物もおろさず互いの状況報告会になってしまったので、後ろからリュックを外してやり、他の荷物と一緒にしてやる。私物が入っているというカバンはもちろんいじらないが亜美のことだ、あちこちにいろいろ紛れ込んでいるに違いない。
「なあ、雪歩。荷物整理、手伝ってくれないか?さすがに俺が女の子のバッグまさぐるわけにはいかなくて」
「はい?ええ、いいですよ」
 ちょうど居合わせた雪歩に声をかける。
「すまないな、ありがとう。お土産しこたま買ったんだけど、時間なくてあちこちのバッグに詰め込んであるんだ」
「それをより分けるんですね。亜美ちゃん、真美ちゃんと会えて片付けどころじゃないみたい、二人とも楽しそう」
「助かるよ。お土産の分配、雪歩にはこっそり上乗せしてやるかな」
「ほんとですか、やったぁ」
 バッグのジッパーを開く雪歩に、レジ袋に詰め込んであるのは事務所用、包装したのが誕生日プレゼント、持ち回り用に別送した伝票などと説明をしてゆく。
「昨日の真美の相手も、ずいぶんしてくれたんだって?」
「は、え、いえっ。でも、気晴らしにはなったみたいだったんでよかったです。ここの飾りつけもすごいですよね」
「主賓が率先して飾り付けするなんてどうなんだ、しかし」
「ですよね、ふふ……あれ?」
「どうした」
「いえ、なんか引っかかって」
「大丈夫か?なんだそれ」
 亜美のリュックから取り出しかけた包みのひとつに、なにやら赤い紐が引っかかっていた。確かめようとそちらを向く。
「……あっ」
「ぎゃー?ゆきぴょんダメーっ!」
「おご?」
 雪歩がなにか気づいたと思いきや突如、俺の横ざまに黄色い悲鳴と重い衝撃。突き飛ばされてから行方を見ると、亜美が雪歩からリュックを奪い取っていた。
「ゆ、ゆきぴょんコレは亜美がやるから!だ、だからいいからっ」
「あ……亜美お前、それは失礼だぞ、お前が遊んでるから雪歩が――」
「あーっ!」
「――え?」
 亜美を注意しようとしたら、雪歩に遮られた。
「ぷっ、プロデューサーいいんですぅ!私が悪かったんですから」
「しかしな雪歩」
「いいんです、いいですからっ」
 真っ赤な顔で身を引かれては口の出しようがない。亜美が無造作に詰め込んだ下着でも見えたのだろう、それなら俺の出る幕ではないとおとなしく引き下がった。
 ほどなく小鳥さんと春香の作った料理や、ケータリング屋からのオードブルも届いてパーティが始まった。アイドルの子たちも半分くらいは揃っているが、収録の都合で出たり入ったりになるので、今日はこの会議室は夕方までずっと宴会状態になるのだ。俺たちプロデューサー陣は仕事もあり酒を飲むわけにはいかないが、亜美たちが楽しくいられるならそれでいい。
 そう考えていたら亜美と真美が近寄ってきた。
「いえーい!兄ちゃん飲んでるー?」
「ウーロン茶だけどな。楽しいか?」
「チョー楽しい!いまみんなにお礼言って回ってるんだよ、兄ちゃんもありがとね」
「いい心がけだな。そのテンションで来週はオーディション受けてみるか」
「んっふっふー、まかせてちょーらいゴーリキショーライ」
「頼もしいな、よろしく頼むぜ……ん?」
 意気揚々と料理のテーブルへと歩み去る亜美にそう言ったところで気づいた。脇で真美が、俺を見つめている。
「お前も頼むな、真美」
「……兄ちゃん、あのさ」
 なにか報告事項でもあるのだろうか。促すようにうなずくと、不思議そうに首をかしげた。
「亜美と、なんかあった?」
「……な、なにが?」
 声が震えていないことを祈りつつ、慎重に対応する。
「収録は首尾よく終えたし、体調も大丈夫だったみたいだぞ?どこか変なとこあったのか?」
「あー、ううん」
 そう訊ねると、笑って首を横に振った。
「亜美、なんかとっても楽しそうだから。亜美が楽しいんなら真美も嬉しいんだけどね、あはは」
「そ、そか。ひょっとしたら今朝、飛行場でアイス食ったからかな」
「あー、やっぱりー。兄ちゃんそれ、こんど真美にもだかんね」
「へえへえ」
 双子というのは恐ろしい。俺の目からは完璧に平静を装っている亜美に、なにか思うところでもあったのだろう。
 真美が亜美に向かっていくのを、少し複雑な心境で見送った。
 見た目はそっくりな二人のうち、俺は亜美を選んだ……選んでしまった。これは社会的にも道徳的にも問題があるだけでなく、二人の仲にも深い影響を及ぼしかねないことだ。
 昨夜の出来事が、二人をプロデュースする上での重荷になってはならない。俺はこの道に自ら踏み出してしまったのだし、人生を賭けて秘密を守らなければならないだろう。
 いま向こうのテーブルで楽しそうに料理をがっつく二人を見つめ、俺は決意を新たにした。
「兄ちゃん兄ちゃん、ちょっとこっち来て!はやくー!」
 テーブルから亜美が俺を呼ぶのに気づいた。
「なんだよ一体」
「これチョーおいしいよ!早く食べなよ!」
 尻尾の付いた茶色い揚げ物を、亜美が高く掲げている。あの皿は注文ではなく、小鳥さんか春香が作っていたもののはずだ。
「うまいんなら遠慮せずに食え、お前ら主役なんだし」
「もちろん食べてる」
 振り返った亜美と真美は、それを両手に直接握り締めていた。
「だがお前ら、手で食うなって。それエビだろ、エビフライか?」
「フリッターですよ、フリッター。亜美、美味しい?」
「うん!はるるんが作ったの?」
 春香がちょうど通りかかり、補足してくれた。
「そこのソースつけてみて。すっごい合うよ」
「え、ソースって、どの……うぁ」
「うお?」
 春香に勧められて二人揃って脇の小皿を見ると……赤と白のマーブル模様。
「じゃーん!春香ちゃん特製・ケチャマヨディップでっす」
 ――『亜美はオムライスかっつーの、あはは』。思い出すまいと努めていた昨夜の記憶が噴出した。冷や汗を垂らす俺と、頬を染めてにやりと笑う亜美。春香は俺たちの様子を、単にソースの出来に驚いているとでも思っているようだ。
「どうですプロデューサーさん。きれいでしょ?」
「あ、ああ、そうだな」
「あえて混ぜ過ぎない仕上がりにしたんです。赤白でなんかおめでたい感じで、お誕生会にはもってこいですし」
「はるるん、特製ってなにが?」
「食べてみればわかるかな。けっこう苦労したんだよー?」
「ほんと?どれどれっと」
 亜美はフリッターを……再び手づかみで取り、ディップの中で無造作にぐるりと回すと自分の顔の前にぶら下げる。
「んー、あーん」
 そして大きく開いた口から舌を伸ばし、俺を横目で見つめながらぺろりと舐めた。
 亜美もたぶん気づいたに違いない。そこで浮かべた笑顔は確かにいつもの、いたずらっ子の亜美であったが。
 不覚にも、……俺の下半身が即座に反応してしまった。そこに視線をまとわり付かせ、嬉しそうに笑う亜美に、俺は次のような行動しかできなかった。
 すなわち、神かけて誓うが精一杯の、本当に心いっぱいの愛情を込め、……。

「げ、下品な食い方すんなーっ!」
 ごっつーん。
「あいったーっ!?」
 大声で怒鳴り、愛しい人の頭を思いっきりどやしつけたのである。





おわり





【投下情報】20100523エロパロスレに投下。
亜美真美誕生日お祝いSSです。お祝いの日にナニしてくれてんねん自分。規制が酷くてごく限定された環境からしか投下が出来ず、誕生日を過ぎてしまいました。
というか、書き始めたのは『去年の』誕生日合わせだったんだからどっちにしても(ry

当初のタイトルは『オーロラ』、まあオチで使ったオーロラソースのことなのですが、当初目論んでいたもうひとひねりまで手が届かなかったので(ホテルが北国でオーロラが見えたとかPの心情にオーロラのようなゆらぎがあったとかまあそんなフレーズ入れようとしたんです)もっとわかりやすい言葉に変更。
並べて投下した雪歩×真美『sister』と同じ日のお話です。亜美真美バースデーCDがちょうどこの組み合わせだったんですが、だからと言ってこのPが泰Pと言うわけではムニャムニャ。まあCDから入った人間なんであのPのキャラクターはゲーム上のP以上に僕のSSのそこら中ににじみ出ております。
はじめは単に『同日のお話2本』だったのですが、書いてくうちにかかわりがあったら面白いかなと思い始めました。そこで冒頭とエンディングを絡め、赤い紐とか小ネタを入れてみたのですがエロパロと百合スレと両方見ててくれる人がいてよかったw
  1. 2010/05/23(日) 00:00:01|
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